しばらく時間があいてしまいました。すいません。


今回は比較的新しいネタです。
といっても使い出したのは7~8年前ですが、、、、。



どの楽曲でも非常に重要な役割を持つ楽器、ベース。
正確にはベースというよりは楽曲の安定感を司る楽器ということになりますね。
ミキシング作業をしていると非常に悩む楽器でもあります。

音域によって音の出方が変わることが多く、聞いていて安定感を感じる、安心して聞けるベースサウンドを作るのは結構難しいものです。

たとえばよくあるパターンは、ベース(エレキベース)の弦によって音量が大きく変わってしまう場合です。
4弦はなぜか聞こえにくいのに、3弦の音になった瞬間に大きすぎる、といった具合です。


 これを是正するには、研究の結果マルチバンドコンプレッサーが最も簡単です。


マスタリング用エフェクトと思われているマルチバンドコンプレッサーですが、実は色々な場面で使うことができ、特にすべての音域を同じ音圧に整えたいベースのような音には非常に有効です。


マルチバンドコンプレッサーは簡単に言うと複数のコンプレッサーが1台にまとまったもので、それぞれのコンプレッサーが担当する音域が決まっています。入力音を音域ごとに分けて、それぞれに異なる設定のコンプレッサーをかけることができる、というエフェクトです。


難解なエフェクトの代表格でもあるので、正直なところ、普通のコンプレッサーが使いこなせない場合は使うのが難しいかもしれません。その場合は、普通のコンプレッサーをいろいろな場面で使い倒してから、もう一度この技を試してみてください。



では詳細です。



まずはベースの音を作りこんでください。 

これは別の記事で述べたいと思いますが、まずはベースの音が出来ているが、音域による音量が安定しない局面、という前提で進めます。


これに対しマルチバンドコンプレッサーをかけます。
3バンドのもので充分ですが、4バンド、5バンドのものでも大丈夫です。
(使わないバンドをOFFにすればよいだけなので) 


まずは帯域を設定します。

多くのマルチバンドコンプレッサーでは、帯域の分け方を変更することが出来ます。
分け方としては、ベーストラックをソロで聞きながら、音量の出方の特性に合わせて変更します。
特に、強く出てしまう音域がひとつの帯域に収まるように設定できると有効です。


3弦の音だけ強く出てしまうような場合は、マルチバンドの下から2つ目くらいの帯域が、3弦の音に合うように設定すればよいでしょう。



次にそれぞれのコンプレッサーを設定していきます。
低いほうから順番にやればいいと思います。


それぞれの帯域をソロで聞くことが出来ると思いますので、ソロにして作業すると早いです。 
かけ方はお好みで、ということになりますが、筆者は比較的ベースは強めにコンプレッサーをかけることが多いです。
アタックはかなり早めにして突出したアタック音が出ないように、レシオも8:1以上とか結構きつめにすることが多いです。


なぜかというと、これは考え方次第ですが、安定したベースサウンドが好きだからです。
あまり目立たず、常に楽曲をささえる感じですね。
でも、ミュートするとすぐにわかるパート、という感じです。



コンプレッサーの設定をしたら、楽曲に混ぜて最終調整をします。


まずはそれぞれのコンプレッサーのレシオを再度調整し、すべての帯域が同じ出方になるように調整します。
大きいと感じる帯域のレシオは強めにします。


次にそれぞれの帯域の出力レベルを調整して、さらに安定感が出るようにします。



これで完了です。
聞いてみてどうでしょうか?


すべての帯域が安定したベースサウンドがあると、かなり聞きやすいのではないかと思います。

安定すると基本のベースサウンドも変える必要がでることが多いので、マルチバンドコンプレッサーより前段でかかっているエフェクトも任意で調整しましょう。


最後に、マルチバンドの帯域数が4バンド以上、特に5バンドある場合は、最も上の帯域だけは異なる使い方が出来ます。

最も高い帯域は輪郭をコントロールするために使うことが可能で、この帯域だけは低域と異なるセッティングが必要です。一般的な打楽器的なセッティングをすると使いやすいでしょう。

この一番上の帯域のレベルを調整することでベースサウンドを目立たせる、引っ込めるどちらも可能になります。イコライザーでも可能ですが、イコライザーより無難にまとまることが多いので試してみてください。 

 

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