#013の基礎編はお読みいただけたでしょうか?
もしまだでしたら是非#013基礎編からお読みください。
今回はギターダブリングの応用編です。
応用1
ダブリングの幅を調節する
前回のダブリング設定では、パンの設定をL:100%/R:100%と書きました。
この振り分け方を調整することで様々な効果を得ることが出来ます。
まず間隔を狭めるとどうなるでしょう?
L:30%/R:30%で設定してみてください。
狭めると、1つの楽器としての一体感が強くなります。
L:100%/R:100%の設定では、完全に左右別々に聞こえますから、2本のギターとして聞こえます。
狭めると1本のギターに聞こえてきます。
POPSなどでは、そこまでギターのワイルドさやパワフルさ、ギターパートの賑やかさを必要としないケースが多くあります。
このような場合は、パンの設定を狭めることでギターの主張を弱めることが出来ます。
ただし、 L:30%/R:30%くらいにしてしまうとセンターの土地に侵食してセンター定位の主役達に干渉しますので、バッキングパートの場合はL:50%/R:50%程度がお勧めです。
応用2
よりギターの主張を強くする(HR/HM的演出)
HR/HM系のサウンドではとにかくギターのパワフルさが重要。
もっとギターをパワフルに!という場合の応用です。
基礎編では2本のギターでダブリングしましたが、原理的にダブリングは本数を増やしても違和感がそんなに出ません。
従って、録音する回数を増やします。
4本録音してみましょう。
再生のパン設定は、
Gt1:L90%
Gt2:L75%
Gt3:R75%
Gt4:R90%
程度に設定してください。
もちろん2本の時より音量も増しますので、音量には注意しましょう。
これらのトラックをグループ機能などを使ってまとめてしまう、同じステレオバスにまとめてしまうと扱いやすくなります。
単純な話で、ギターの本数が増えますので当然ギターの主張が強くなります。
ギターの壁!という演出をしたい場合に有効な手法です。
注意点は、低音です。
本数を増やすほどすべての帯域で音が大きくなります。
特に、ディストーションギターの低音は、かなり容積を消費しますので、あまり低音が強すぎるとベースやバスドラムなど、低音楽器に強く干渉してしまいます。
このような場合は、センターに近いパートのみイコライザーで低域を少しカットしましょう。
低域は音響特性的にも方向性が弱いため、人間はどのギターの低音か認識しにくいです。
先ほどの例で言えば、Gt2/Gt3のみ低域をカットします。
シェルビングタイプのイコライザーを使って、200Hz以下くらいを数デシベル程度カットすれば充分です。
多少カットしたところで、ダブリングの効果や、ワイルド感は失われません。
なぜセンターよりの音だけカットするかというと、低音の楽器はセンターに定位されることが多いためです。
バスドラムの音もはっきりと聞かせたい場合などは、この低域調整処理をしておくと良いでしょう。
応用3
左右の聴感音圧調整に使う
これはギターのサウンドメイキングというよりも、楽曲全体の最終調整に使う技です。
ミキシングが進んで終盤に差し掛かると、トラック数が多い場合はどうしても左右の音圧感のバランスが悪くなることがあります。
左右どちらかのみ、耳を押しているパワーが強くなってしまう場合です。
このような場合、ダブリングギターのトラックがあればこの違和感を是正することが出来ます。
たとえば、右から押されている感じがする場合は、ダブリングギターの右側パートのみ数デシベルフェーダーを落とします。
ポイントは、ダブリングギターの定位が変化しない程度に留めることです。
左右同じ音量の場合は綺麗に広がって聞こえますが、どちらかが明らかに音が大きい場合は、左右どちらかに寄って聞こえてしまいます。
この技の目的は全体のバランス補正ですので、聞こえ方は変わらないように、聴きやすくするのが目的です。
ですから、ギターの定位は変化しない程度に、パワーの強い側のギタートラックの音量を下げるのです。
これで、左右から押されるパワーが調節され、聞きやすくなります。
パワーコードは音圧が高いということを逆用した技です。
応用4
サビを盛り上げる
楽曲において、サビを盛り上げるのにもダブリングは使えます。
サビを盛り上げるには色々な手法があり、単純に言えばサビの部分だけ違うことをすればよいのですが、ダブリングをこの目的で使うのです。
サビ以外の部分では、ダブリングを使わず、サビの部分だけダブリングを使います。
サビになった途端音が広がり、音圧が増し、音量も上がりますのでかなり盛り上がります。
別の方法では、応用1の幅調整を応用することも出来ます。
サビ以外ではL:50%/R:50%程度としておき、サビの部分だけL:80%/R:80%に広げます。
するとサビになった途端音が広がって聞こえるので、盛り上がって聞こえます。
いかがでしょうか。
正直なところ、ダブリングパートは楽曲の中にひとつくらい仕込んでおくとミキシング後半でかなり役に立ちます。
パワーコードを録音するときは、ダブリングするかどうかわからない場合も、とりあえず保険という意味で、2本録音しておくことが多いです。
また、ギター以外の楽器でも結構使えます。
かなり有効に使えるテクニックですよ。
最後まで読んでいただけたら是非クリックをお願いします!
もしまだでしたら是非#013基礎編からお読みください。
今回はギターダブリングの応用編です。
応用1
ダブリングの幅を調節する
前回のダブリング設定では、パンの設定をL:100%/R:100%と書きました。
この振り分け方を調整することで様々な効果を得ることが出来ます。
まず間隔を狭めるとどうなるでしょう?
L:30%/R:30%で設定してみてください。
狭めると、1つの楽器としての一体感が強くなります。
L:100%/R:100%の設定では、完全に左右別々に聞こえますから、2本のギターとして聞こえます。
狭めると1本のギターに聞こえてきます。
POPSなどでは、そこまでギターのワイルドさやパワフルさ、ギターパートの賑やかさを必要としないケースが多くあります。
このような場合は、パンの設定を狭めることでギターの主張を弱めることが出来ます。
ただし、 L:30%/R:30%くらいにしてしまうとセンターの土地に侵食してセンター定位の主役達に干渉しますので、バッキングパートの場合はL:50%/R:50%程度がお勧めです。
応用2
よりギターの主張を強くする(HR/HM的演出)
HR/HM系のサウンドではとにかくギターのパワフルさが重要。
もっとギターをパワフルに!という場合の応用です。
基礎編では2本のギターでダブリングしましたが、原理的にダブリングは本数を増やしても違和感がそんなに出ません。
従って、録音する回数を増やします。
4本録音してみましょう。
再生のパン設定は、
Gt1:L90%
Gt2:L75%
Gt3:R75%
Gt4:R90%
程度に設定してください。
もちろん2本の時より音量も増しますので、音量には注意しましょう。
これらのトラックをグループ機能などを使ってまとめてしまう、同じステレオバスにまとめてしまうと扱いやすくなります。
単純な話で、ギターの本数が増えますので当然ギターの主張が強くなります。
ギターの壁!という演出をしたい場合に有効な手法です。
注意点は、低音です。
本数を増やすほどすべての帯域で音が大きくなります。
特に、ディストーションギターの低音は、かなり容積を消費しますので、あまり低音が強すぎるとベースやバスドラムなど、低音楽器に強く干渉してしまいます。
このような場合は、センターに近いパートのみイコライザーで低域を少しカットしましょう。
低域は音響特性的にも方向性が弱いため、人間はどのギターの低音か認識しにくいです。
先ほどの例で言えば、Gt2/Gt3のみ低域をカットします。
シェルビングタイプのイコライザーを使って、200Hz以下くらいを数デシベル程度カットすれば充分です。
多少カットしたところで、ダブリングの効果や、ワイルド感は失われません。
なぜセンターよりの音だけカットするかというと、低音の楽器はセンターに定位されることが多いためです。
バスドラムの音もはっきりと聞かせたい場合などは、この低域調整処理をしておくと良いでしょう。
応用3
左右の聴感音圧調整に使う
これはギターのサウンドメイキングというよりも、楽曲全体の最終調整に使う技です。
ミキシングが進んで終盤に差し掛かると、トラック数が多い場合はどうしても左右の音圧感のバランスが悪くなることがあります。
左右どちらかのみ、耳を押しているパワーが強くなってしまう場合です。
このような場合、ダブリングギターのトラックがあればこの違和感を是正することが出来ます。
たとえば、右から押されている感じがする場合は、ダブリングギターの右側パートのみ数デシベルフェーダーを落とします。
ポイントは、ダブリングギターの定位が変化しない程度に留めることです。
左右同じ音量の場合は綺麗に広がって聞こえますが、どちらかが明らかに音が大きい場合は、左右どちらかに寄って聞こえてしまいます。
この技の目的は全体のバランス補正ですので、聞こえ方は変わらないように、聴きやすくするのが目的です。
ですから、ギターの定位は変化しない程度に、パワーの強い側のギタートラックの音量を下げるのです。
これで、左右から押されるパワーが調節され、聞きやすくなります。
パワーコードは音圧が高いということを逆用した技です。
応用4
サビを盛り上げる
楽曲において、サビを盛り上げるのにもダブリングは使えます。
サビを盛り上げるには色々な手法があり、単純に言えばサビの部分だけ違うことをすればよいのですが、ダブリングをこの目的で使うのです。
サビ以外の部分では、ダブリングを使わず、サビの部分だけダブリングを使います。
サビになった途端音が広がり、音圧が増し、音量も上がりますのでかなり盛り上がります。
別の方法では、応用1の幅調整を応用することも出来ます。
サビ以外ではL:50%/R:50%程度としておき、サビの部分だけL:80%/R:80%に広げます。
するとサビになった途端音が広がって聞こえるので、盛り上がって聞こえます。
いかがでしょうか。
正直なところ、ダブリングパートは楽曲の中にひとつくらい仕込んでおくとミキシング後半でかなり役に立ちます。
パワーコードを録音するときは、ダブリングするかどうかわからない場合も、とりあえず保険という意味で、2本録音しておくことが多いです。
また、ギター以外の楽器でも結構使えます。
かなり有効に使えるテクニックですよ。
最後まで読んでいただけたら是非クリックをお願いします!