- Imagine & Inspire - あなたは、もっといい音でつくれる。

様々なメディアで紹介される「機材の使い方」ではなく、「録音のノウハウ」をレコーディングエンジニアが紹介。大型スタジオではなく、小規模スタジオ、お世辞にも良いとはいえない機材環境で生き抜いたが故に身に着けた、与えられた機材で自分の求める音を出すためのテクニックを、自由気ままに紹介します。 動画がスタンダードになって久しい世の中。想像力を使うことも音楽制作の楽しみという考え方から、基本はテキストでの紹介。どんな音がするのか?自分の環境でどう活用するか?想像する力を、あなたはまだ持っていますか?

2014年06月

マイクの立て方などは#004#005などを参考にしていただくとして。

レコーディングにおいては欲しい音で録音するのがひとつの目標ではあります。
欲しい音を録る、端的にはいい音を録るというのは、もちろん出ている音をいい音で録るという意味がベースではあります。自分の技術的なテクニックでいい音を録るという方向性です。



実はもうひとつ、他の考え方があります。




 
それは、いい音を出してもらうという考え方です。



もちろんテクニックがあれば、そこで聞こえている音をいい音で録ることはできるでしょう。



しかし、もともといい音が出ていないものを録るのは結構大変なことなのです。
その上、もともといい音をテクニックを駆使して録音したものには絶対に勝てないのです。



近年はレコーディング機器が発達していますから、正直なところ、基本的な使い方をマスターすれば誰でも結構いい音で録ることは出来ます。



ですから、このいい音を出してもらうテクニックをマスターすることで、 他の人よりも一歩進んだ音を手に入れることができます。




今回はボーカル編です。




まず、ボーカルにいい音を出してもらうっていうのは、どういう事でしょうか?


ボーカルのいい音って??


色々あります。


たとえば、
・気分よく歌っている歌
・思い通りに歌えている歌
・感情が伝わってくる歌
などなど。

まぁ単純に言うと一番上の気分よく歌っている歌、ということになります。


ボーカルに限らず、楽器演奏、音楽演奏はテンションが音に大きな影響を与えます。


つまり、気分よく歌ってもらえばよい訳です。



ここからは想像力が必要ですが、たとえば自分だったら、どういう時が気分よく歌える時でしょうか?
・うまいと言われる時
・まわりが見えなくなっている時
・自分の歌がうまいと思える時
・聞き手が自分の歌に感動しているなと思った時
・歌いやすい時
などなど。


このどういう時に気分よく歌えるか、というのは人それぞれなところでもあるので、録音するボーカリストの人間性もよく理解しておく必要があります。ちょっと人に合わせて細工が必要だったりします。




と、大体背景と考え方はご理解いただいたところで、どのボーカリストにも使える技をご紹介します。




先ほどの箇条書きの「歌いやすい時」というパターンを活用して、歌いやすい環境を作ります。



まずはヘッドホン
ヘッドホンは音がいいやつを使ってください。
自分の声がチープに聞こえると誰しも気分が良くないです。
録音している最中はボーカリストの方が大事なので、いくつかヘッドホンを持っているようであれば、一番いいやつをボーカリストに使わせてあげましょう。

装着感も大事です。
イヤーパッドがボロボロになっていてはがれてくるような、装着間の悪いヘッドホンをつけたら、歌っている最中に気になって気分よく歌えません。側圧(締め付ける力)がつよすぎるもの、逆に弱すぎてすぐ落ちるものなど、とにかく歌に集中できないと思われるヘッドホンもダメです。

歌に集中できるようにしてあげてください。

※イヤーパッド:ヘッドホンの耳というか顔に当たるクッション的な部分。素材にもよるが、経年劣化したヘッドホンはここが皮がむけるようにポロポロとれてくるものもあり、これは最低。そこそこのヘッドホンはイヤーパッドが交換できることが多いので、古くなったら販売店に相談を。


次はモニターバランス
モニターバランスというのは、聞く音の楽器のバランスなどを指します。
ボーカルが歌いやすいバランスと、楽曲全体として聞いて気持ちがいいバランスというのは違うものなのです。
ですから、ボーカルが歌いやすいモニターバランスオケを聞かせてあげる配慮が重要です。

※オケ:歌のある曲であれば、歌以外の演奏全体のこと。原語はオーケストラ。英語にもなっているカラオケは、空のオケ、だからカラオケ、KARAOKE。ボーカルを演奏に合わせることを「オケにあわせる」などと活用する。「オケもっと返して!」と言われたら、ヘッドホンに送る音のバランスでボーカル以外の音量を上げて!という事。

※モニター:音楽制作において音を聞くことをモニターする、という。モニターは英語のMonitorで、監視する、という意味があり、ここから来ている。音を監視する、というニュアンス。制作なので聞く、というニュアンスではないため、制作用途に限って使われる単語。オーディオをゆっくり聞くような場合はリスニングという単語が伝われることが多い。


具体的に言うと、音楽の3要素と呼ばれるポイントがよく聞こえるようにすると良いです。
音楽の3要素は、リズム、メロディ、ハーモニー
まずリズムバンドサウンドだったらドラムなど、その楽曲のリズムの根幹を成している音をよく聞こえるようにします。ドラムで言えば、バスドラム、スネア、ハイハット。ぶっちゃけ、そのほかのパーツは多少聞こえなくても歌えます。
特にバスドラムリズムを体で感じるために重要なので、強めに出してあげるとノリやすくなります。
曲にノれれば、自然と歌いやすくなってきます。

メロディはこれから自分で歌うものがメロディに相当します。
メロディが入れやすいようにする、という事になります。
ボーカルというのは、無音階楽器なので、音程を合わせるために基準となる音があるとメロディピッチが安定します。ということで、バンドサウンドであればベースをよく聞こえるようにしてあげます。

録音の最中にピッチが悪いな、と思ったら音が取りづらい(ピッチがあわせにくい)のではないかと推測して、モニターベースを少し大きくしてあげると、途端にピッチがよくなったりします。

※ピッチ:音程のこと。ピッチが悪い、といったらわかりやすく言えば音痴という事。近年はピッチュ修正ツールが発達しているため、録音中はピッチが良いテイクを残すか、ニュアンスがいいテイクを残すか、というのは結構意見が分かれるところ。

最後はハーモニー
ハーモニーが意味するのはボーカルのハーモニーパート(ハモり)ではなく、楽曲全体のハーモニーを指しますので、コード楽器を聞こえるようにしてあげればよいという事です。たとえばピアノバッキングギターなどですね。
 



これらを把握した上で、ボーカルに気持ちよく歌ってもらうためのバランスをつくり、ヘッドホンに送ってあげます。おもてなしの精神ではないですが、このボーカルのために何かしてあげる、という気持ちが大事だと思います。



この要素が把握できていれば、録音中に歌いにくそう、と感じたら対処をすることができますね。
リズムが悪ければバスドラムを上げる、ピッチが悪ければベースを上げる。
単純に言うとそんな感じです。




さてモニターバランスの次はリバーブです。



自分の声を裸(リバーブなしの状態)で聞きたい人はほとんどいないと思います。
aikoのような最近はやりのドライボーカルサウンドの場合でも、歌っている時はリバーブをつけて録音している人がほとんどではないかと思います。


リバーブはなんでも良いので、とにかくリバーブがかかった音をモニターに返してあげましょう。
迷うようならボーカルにはプレートリバーブがお勧めです。
しかもちょっと大げさにかけると気分が良くなります。
「お!リバーブかかってるねぇ~!」
くらいのイメージですね。

※返す:演奏者に聞かせる音に対してのみ使われる。音は演奏者から録音機器側に来て、もう一度演奏者に戻っていくことから、演奏者に音を送ることを返すという。演奏者のヘッドホンに音を送るのであれば、モニターに返すという言い方になる。「ボーカルもっと返して!」と言われたら、ヘッドホンに送るボーカルの音量をあげて!という事。「返し下げて!」と言われたら音量小さくして!という事。


最後にボーカルそのものの音量です。


人間の本能的な反射のようなもので、自分の声が大きいと思ったら小さく、小さいと思ったら大きく歌う傾向があります。

ですから、ちょっと頑張りすぎ、もっとマイルドなほうがいい、と思ったらボーカルの返しを大きく。
もう少し声量が出ているほうがいいなと思ったら、少しだけボーカルの返しを小さくします。






このように、エンジニア側のモニターバランス調整で、ボーカリストが歌いやすい、気持ちよく歌える環境を作り出すことで、ボーカリストの声をより良いものに変えることができるのです。マインドコントロールしているようで嫌な言い方かもしれませんが、うまいボーカリスト、録音になれているボーかリストはマインドコントロールされていることを知っています。その上で、歌いやすいエンジニアに対しては心を開いてくれます。マインドコントロールしてよい、マインドコントロールできるエンジニアが実はいいエンジニアという事です。



結果的にいい音が録れればみんなハッピー、という訳です。



自分でも歌ってみて、どのバランスが歌いやすいのか把握しておくことも重要です。
何事も相手の気持ちになることが大事ということですね。
そういう意味で、エンジニアをする人はいろいろな楽器の演奏にトライしておくと良いと思います。うまく弾けなくても、その楽器の演奏者の気持ちを理解できるようになります。




という感じですね。





最後に裏技がひとつ。





マイクの向きです。





ボーカリスト、実はエンジニアや他のメンバーの方を向いて歌うほうが気持ちいい人と、エンジニアやメンバーに歌っている姿を見られないほうが気持ちよく歌える人、ふたつのパターンがあります。

自分の世界に入って歌っていることをものすごくカッコいいと思っていて、さらにそれをみんなに見られたい人。ストレートに言えばナルシスト、M型の人は、エンジニアから顔が見えるようにマイクを置くといいテイクが録れます。録音中も視線を送ってきたりしますので、目を離さないようにしてください。笑

逆に自分の世界に入っていることを見られると恥ずかしい、というタイプは歌っている時はエンジニアに背中を向けるように マイキングするといいテイクが録れます。この恥ずかしい人も大概の場合はお客さんなら大丈夫、という人が多いです。身内に見られるのが恥ずかしいタイプですね。結構います。

※テイク:録音において、何回か録音したうちの1回を指す。「さっきのテイクよかったね!」は、さっき録音したやつ良かったね!となる。「3つ前のテイク聞かせて!」となったら、3回前に録音したバージョンを聞かせて、という事。


と、いうことで、端的にはマインドコントロールしていい音を出してもらうというノウハウでした。
小手先の録音テクニックよりはよっぽど大きな効果を得られたりします。


というか、筆者はこれも録音テクニックのうちだと思っています。
色々やってみてください。 

クラウドソーシング「ランサーズ」





最後まで読んでいただけたら是非クリックをお願いします!

マイクの設置などなど、機材のセッティングが済んだらいよいよ音を入力する段階ですね。
マイクを立てて、ケーブルをつないで、次に来るのがレベル設定です。

パソコン上のDAWを使った録音であればオーディオインターフェース、独立したMTRであればそのMTRで調節します。もちろんこれ以外の機器、たとえば近年流行のハンディレコーダーや、レコーディングに留まらずPAミキサーなどでも基本的な考え方は同じなので参考にしていただけると思います。

まぁ端的にはうまいレベル調節の仕方、ということなのですが、物事は仕組みを理解することで応用が利くようになるので、まずはその仕組みやかかわりから簡単に説明してみます。



レベル設定、というと一般的なアマチュア~ハイアマチュアレベルのレコーディングでは入力レベルの設定を指します。今日のデジタル全盛のレコーディング環境では、レベル設定といえばほぼこの入力レベル設定を指していると考えてよいと思います。


で、この入力レベル設定の場合は何をするかというと、入力された音声信号を適切なレベルに(ほとんどの場合)増幅して出力します。


音響機器の場合は、音声を電気信号として扱うため、いかに適正なレベルで調整をするか、ということがいい音を得るための第一歩といえます。この適正なレベルからわざとバランスを崩して欲しい音を得ることも多いのですが、何はともあれまずは適正なレベルで扱えるようにすることが大事です。



レコーディング機器において、マイクを接続して音声を入力し、増幅する機器のことをマイクプリアンプヘッドアンプと呼んでいます。略してマイクプリHAと呼ばれます。


マイクプリのプリ、が意味するところは英語のPreであり、音響機器では何かの前に位置するものに対してよく使われる単語です。プリアンプ、つまり何かの前にあるアンプ、という事になります。



何か、というのはたとえばレコーダーだったり、ミキサーだったり。レコーディングで言えば、録音する機器、つまりレコーダーがメインの機器と考えられますので、その前段にあるアンプ、プリアンプという事です。ついでにマイク用なのでマイクプリアンプ、という感じです。



で、このマイクプリで適正なレベルに調節し、次の機器に適正なレベルで送ることでノイズの影響も受けにくくなります





なぜ適正なレベルにするとノイズの影響を受けにくいのか??




色々と説明はありますが、最も単純な説明としては、ノイズを増幅することがなくなるからです。


レベルの大小に関わらず、後段機器への接続において外部から飛んできたノイズ信号線に混入してきます。このノイズは多くの場合小さなレベルですが、もしレベルを適正化しないで後段機器に送った場合は??


あとで音を大きくするときに、この混入したノイズも一緒に大きくしてしまうことになります。つまり、ノイズの音量が大きくなります。


レベルを適正化して出力することで、後で無駄に音を大きくする必要がなくなります。また、比率の問題で、ノイズ1に対して信号レベルが2だったら、信号を10の大きさにするとノイズも5になります。が、ノイズ1に対して信号レベルが5であれば、信号を10にしてもノイズは2です。前述の場合ノイズの比率は50%ですが、後述の場合は20%ですね。単純に、後述の場合の方がノイズが聞こえにくくなります。この比率はキープされる訳ですね。





逆の場合、小さくする場合はどうでしょう?





小さくする場合は先ほどの比率の話が活用され、ノイズも一緒に小さくなるので、結果的に気になりません。


デジカメの写真をイメージしてもらうと良いかもしれないですね。
解像度の高い画像は、後からそれ以上大きくする必要がありませんし、小さく表示した場合はその精細さがキープされます。逆に解像度を低くして撮影した写真を後で大きく拡大すると、ギザギザですね。




ということで、入力レベルを適正化して出力することの重要性はご理解いただけたかなと思います。






では、実際のレベル調節の方法を。





まずは、機器のレベル確認の方法を確認する必要があります。
呼び方は機器それぞれですが、信号の大きさを目で確認できるよう、レベルメーターやLEDがついている場合が多いです。


メーターは見ればわかりますね。


LEDの場合は、LEDの数で見え方が異なりますが、多いパターンは2個、もしくは2色のパターンでしょうか。このLEDの場合も、単純にメーターの光る素子の数を少なくしただけだと思ってください。


メーターの場合、最も上が光るとレベルオーバーです。


レベルオーバーになるとどうなるか、というと、デジタル録音の場合は音が歪んでしまいます。歪む、というのは簡単に言うともともとの音声が破壊された状態であり、元に戻すことは出来ません。まぁわざと歪ませることもあり、それを利用したエフェクターがギターのオーバードライブディストーションです。




ということで、狙って歪ませる場合を除き、基本的には歪まないようなレベル設定をします。


つまり、メーターが振り切れないように入力レベルを調整します。
入力レベルの調整は、GAINやVOLUME、INPUTなどといった名称の操作子を使って調整してください。
LED表示の場合は、PEAKとかOLとかいう名前のLEDがつかないように調整します。ちなみにOLはオーバーロードの略です。



そしてレベル調整のポイントとしては、上げていく方向で調整してください。



いきなり最大レベルに設定して、歪まないように下げていくのもひとつの方法論ですが、これは演奏者に優しくありません。演奏している人はいい音で聞いたほうがやる気が出るので、歪んだ音を聞かせないような配慮も、エンジニアリングとして重要なスキルです。



だんだんレベルをあげていき、メーターの一番上がついたらちょっと戻す、くらいのイメージです。PEAK LEDの場合は、PEAKがついたらちょっと戻す、という感じ。8分目をイメージすればよいです。



スタンダードなレベル調整、という意味ではこれでOKなのですがいくつか注意すべきことがあります。




まずは、どのくらいの音量に対してレベル調整をしたか?ということ。



たとえばボーカルなら、最も声が大きい時の音量に対して入力レベル調整をする必要があります。そりゃ、小さい音量にあわせて調整したらサビまで歌った時に歪んでしまいます。


アコギなら、楽曲中にストロークがあればストロークの音量にあわせます。アコギの場合ストロークアルペジオは結構な音量差があるので、筆者は基本的に別のトラックに、別のセッティングで録ることが多いです。DAWで言えば、AG-ST(アコギのストローク)というトラックとAG-ARP(アコギのアルペジオ)というように二つトラックを作ります。


さらに、この最大音量というものは、演奏者のレベルによって対処方が異なってきます


プロ級の演奏者の場合は、大概本番の方がいい演奏をするため、音がちょっと大きくなる場合が多いです。 モチベーションがあがるとより大きい音が出る訳ですね。さらにこの音量が録音の間継続しますし、あまり録りなおしをしないことが多いです。ですから、安全ゾーンを大目にとって、レベルチェックの際は6分目くらいで調整するといい感じです。


そこそこの演奏者の場合。
これはだいたい本番も同じ音量で来ます。ただし、演奏に持続力がないことが多く、また、いい演奏を録るのに回数を必要とすることが多いので、録音を重ねるごとにレベルが下がることが多いです。チェックでは8分目程度で調整し、演奏を聞きながら随時調整、演奏の音量を追いかけていきます。


演奏レベルが低い場合。 
この場合はだいたい本番の方が音が小さいです。ですからかなりギリギリを狙っておくといい感じです。




二つ目の注意点は、同時に演奏される楽器の数です。


入力レベルチェックは、楽器ひとつひとつに対して行っていくこととが多いのですが、本番で演奏される楽器の数が単一でない場合は、本番の方が入力されるレベルが大きくなります


ドラムがわかりやすいですね。スネア単体でレベル調整をしても、本番はバスドラムだのシンバルだの色々一緒に演奏されます。


つまり、単体ではいい感じのレベルだったのに、演奏が始まったら歪んでしまう場合があるという事です。


レベルチェックは実際と同じ演奏で行うことが大切なので、注意してください。






さて、細かいことは抜きにすれば、レベルの調整が完了です。これで録音できますね。


レコーディング、特に近年のデジタル録音においては、入力レベルが高いことが音の解像度に直結してきますので、基本的には可能な限り大きなレベルを心がけてください。でも歪まないように。これが難しく、経験が必要なことでもあります。


入力レベルそのものではなく、マイクプリアンプより後段の録音レベル調整、また、わざとレベルを小さくして録音する技もありますが、その辺はまた別の機会に書きたいと思います。


最後まで読んでいただけたら是非クリックをお願いします!




 

前回の記事はダイナミックマイクでしたので今回はコンデンサーマイク編です。
マイクのタイプが違っても基本的にマイクはマイク。
マイキングのノウハウはダイナミックマイクでもコンデンサーマイクでもさほど変わりませんので、是非#004の記事を読んでからこちらの記事を読んでください。

コンデンサーマイクでのボーカル録音を始める前に。


多くのダイナミックマイクは、マイクの振動版ダイヤフラムの前にスポンジのようなものがあります。

これはちゃんと意味があります

声の成分の中で、Pの音を含む音、日本語ではパピプペポの発音においては、大げさに言うと爆発音、破裂音が声の中に含まれています。



パピプペポと発音してみてください。



音が出る前に一度口を閉じていますね?



この口が開くときに、溜めていた空気を外に出しながら母音であるアイウエオを乗せることでパピプペポは成立します。この、開くときに出る空気が大げさに言うと爆発音、破裂音となって現れます。

これがマイクのダイヤフラムに当たると、音ではなくこの爆発音、破裂音のほうを拾ってしまい、ノイズとなって録音されてしまいます。これを、ポップノイズと呼んでいます。

このポップノイズが録音(収音)されるのを防いでくれるのが先ほどのスポンジです。

その名もポップガードと呼ばれています。


で、多くのダイナミックマイクではこのポップガードがマイク本体に内蔵されていますが、多くのコンデンサーマイクでは内蔵されていません。従って、マイクとは別にポップガードを用意しないと、このポップノイズを拾ってしまいます。高いものではないので是非用意してください。5年は使えると思います。臭くなったら洗うか新調してください。(苦笑)

以下のように、結構安いものから種類があるので、お好みのものを選んでください。
安くても効果はあまり変わりませんが(苦笑)、大きいものの方が使い勝手は良いと思います。
あと、メタルタイプは洗うことが出来るので、綺麗好きな人にお勧めします。



ポップガードの多くはグースネックと呼ばれる自由に曲げることのできるアームと、クリップのようなものがついています。このクリップ的なものをマイクスタンドのアームに取り付けることで固定します。


ポップガードの位置は特にありませんが、なるべくマイクに近い位置、ボーカリストから遠い位置が良いでしょう。ボーカリストに近いと歌いにくくなってしまいます。


コンデンサーマイクダイヤフラムの位置を確認し、ダイヤフラムの中心とポップガードの中心が同じになるよう、同一線上に、なるべくマイクに近い位置にセッティングしましょう。この時も、声が飛ぶラインにすべての中心が一致するようにセットしてください。



さて、準備は完了です。

マイキングに入っていきましょう。



まず、ダイナミックマイクでのマイキングスタート位置は口の前5cmとしていました。



コンデンサーマイクの場合は、これが違います。
というか、ほぼこのスタート位置以外は同じと言ってもいいと思います。



コンデンサーマイクでは、口の前20cmをスタート位置として考えてください。
ほかは、とりあえず、同じです。



というのも、#004に書かれている通りダイナミックマイク、特にボーカル用のダイナミックマイク近接効果を活用することを想定に入れて作られているものが多いためです。


つまり、ダイナミックマイクにおいても本音は20cmスタートなのですが、口のすぐ近くにマイキングしないと本来の音がしないダイナミックマイクがほとんどなので、5cmスタートとする訳です。


スタート位置からの調整もダイナミックマイクと同じ要領で、低域を強く、もっとパワフルにしたい場合は近くに。もっとマイルドに、パワー間が強すぎる場合は遠くに
1cm単位を目安にマイキングを調節してください。


このとき、ダイナミックマイク同様にボーカリストの口から声が飛んでいくラインをイメージすることを忘れないようにしてください。この感覚がものすごく重要です。



見えないはずの声を、イメージして画像化する。




この想像力がレコーディングやサウンドメイキングで重要なスキルです。
是非鍛えてください。


加えて余裕があれば、コンデンサーマイクについては反射音に関しても少しケアしましょう。

※反射音:音源(口とか)から音が出て、何にも当たらずに直接マイクに入る音を直接音といい、それ以外の何かに反射して跳ね返ってくる音を反射音と呼びます。


簡単に説明すると、ダイナミックマイクよりも広範囲の音を、繊細に収音しますので、壁から跳ね返ってくる音もダイナミックマイクよりよく拾います。

※収音(しゅうおん):マイクで音を電気信号に変えることそのものを収音する、といいます。録音、というと録音機、レコーダーで電気信号に変換された音を記録することつまり、音を固定することを指しますが、収音の場合は特に録音するかどうか問いません。ついでに「よく収音できる」ことを「よく拾う」といった表現をします。空気中に浮遊している音を拾ってくる、という収集するというイメージから来ているものと思われます。


自宅レコーディング環境でのコツはとにかくデッドにすることですから、カーテンを閉める、ドアを閉める、和室で録音してみる、などなど、反射音が少なくなりそうなことはどんどんやってください。


デッド(DEAD):反射音が少ない状態、少ない環境のことをデッドと呼ぶ。その逆に反射音が多いこと、もしくはその環境をライブ(LIVE)と呼ぶ。音を作る環境では基本的に全面デッドが多いが、背面をわざとライブにした環境もあり、これはLEDE(Live End Dead End)と呼ばれている。最近あまり見ない。おそらく小さいスタジオが多くなったせいではないかと。基本的に、ライブ環境でいい音にしようとするとものすごくお金がかかる。正確にはいいデッド環境もお金がかかるが、それ以上にライブ環境はお金がかかるし設計の手間もかかる。


このときに大切なのは、反射音が多い音を知っておくこと。



是非カーテンを閉めた時の音と、カーテンを開けている時の音、両方を録音してみてください。



そして、これらの音の違いを是非体感してください。




ついでにもうひとつ、反射音の具合を変えるテクニックをご紹介します。



今、ボーカルの声が飛ぶラインは、部屋の横壁と直角方向になっているでしょうか?



直角になっている、つまりボーカリストが壁に対して直角に立って歌うセッティングの場合は、この方向を45度変えてみてください。部屋の角の方を向いて歌うという事です。


この変更によって、マイクを通過した音の反射の方向や反射して戻ってくるまでの時間が変わるため、マイクで録音できる音に変化が現れます。


直角の場合は、マイクを通過した音は壁で180度の角度で跳ね返ってしまうため、通過した音の多くがマイクの近くにすぐに戻ってきて、マイクに入ってしまいます。


つまり、反射音の多い音が録音されてしまいます。


角度を変えることによって、マイクを通過した音が壁に当たる際の角度が直角でなくなるため、反射の角度も変わり、マイクに戻ってくる分量が減るか、返ってくるまでの時間が長くなります。

時間が長くなると声は自然と減衰しますので、結果的に反射音が小さくなるのと同じような効果が現れます。



音の基本原則ですが、大きい音の方が強く、早く届いた音の方が強いです。



これらも是非、実験中のすべての音を録音してみて、その違いを体感してください。



こういった音の経験は様々な音を作っていくうえでいずれ逆用する機会が訪れます
基本的にはカーテンを閉めた音を使う機会が圧倒的に多いのでしょうが、いつかカーテンを開けた時の音が欲しくなる日が来るかも知れない、という事ですね。

最近では便利になって、こんなものもあります。
リフレクションフィルターというもので、マイクの後方及び側面を吸音してしまうことで、反射音を強制的に抑えるグッズです。自宅のように狭く、コントロールしにくい環境で録音する場合は有効でしょう。



ついでに、ここまでの説明をご理解頂いた方はお気づきかもしれませんが、もうひとつ。



マイクと壁の距離でも反射音は変わります


声はそのほとんどがボーカリストの前方向に飛びますので、壁に近いと反射音が強く、壁から遠いと反射音が弱くなります。ボーカリストの背中側の反射音はもともと非常に弱いため、あまり影響を与えないからです。


是非やってみてください。




もしあなたがコンデンサーマイクを使うのが初めてであれば、その音の違いに驚くかもしれません。


たいていの方は、コンデンサーマイクの方がクリアだ、音がいい、といったように感じると思います。
基本的にはその通りなので、基本的にボーカル録音においてはコンデンサーマイクを使うのが良いと思います。


念のため正確に記述すると、ダイナミックマイクも音がいいものは本当にいいのですが、使い方、使いどころが難しいのです。ダイナミックマイクは、コンデンサーマイクには出せない音を持っているのです。ですから、是非捨てたり譲渡したりしないで大切に使い続けてください。


大変申し訳ない言い方をすると、コンデンサーマイクは誰が使ってもそれなりの音を録ることが出来ますが、ダイナミックマイクはマイクや録音を熟知していないといい音を録るのが難しいという事です。


この歌には、この人には、ダイナミックマイクがいい!というシチュエーションは多々訪れます。



いかがでしょう。
結構楽しめると思います。


面白いと思った方は、ダイナミックマイクでコンデンサーマイクのような音を出す方法を考えてみてください。
コンデンサーマイクダイナミックマイク、それぞれの音の特徴を理解すれば、色々と方法を思いつくのではないかと思います。そのうち紹介しますが、是非ご自身で考えてみてください。これが出来るようになると、ダイナミックマイクをまた改めて音の引き出しのひとつとして使うことができるようになります。

最初に買うのであればあまり高いものは買う気がしないでしょうから、この辺がお勧めです。
最近は安いコンデンサーも増えていかにも中国なものも多いのですが、この辺は一応ブランド物です。



また、何ももっていない人は、他の機材を含めてパックになっているものもあるので、それを買ってしまうのも手ですね。


最後に、筆者が思うこれぞダイナミックマイク!という音がするのはこれです。


では今日はこの辺で。 

クラウドソーシング「ランサーズ」





最後まで読んでいただけたら是非クリックをお願いします!

さてマイクとスタンド、ケーブルがあれば接続すれば録音ができますね。
では、マイクの立て方について。




マイクをボーカルに立てて下さい。


と言われたら、どのように立てますか?




ボーカルなら、口の前にマイクが来るようにしますね。これはカラオケに行ったことがあれば誰でも知っているでしょう。





でも、改めて考えて下さい。
口の前って、結構広いですよね。





マイクを立てることを専門用語でマイキングする、といいます。英語っぽいですが、カタカナ用語のような気がします。(笑)


ボーカルのマイキングで、最も良いマイキングは?




答えは簡単。




一番音がいい場所に立てればいいのです。
これはボーカルに限らずどの楽器でも同じです、これが重要。

最近は情報が多いので、まずは情報に沿ってマイキングしてしまうことが多いのですが、マイクを立てる前に自分の耳を使って下さい


ボーカルの場合は歌ってもらって、前で聞いて下さい。


立って、座って、背伸びして、横を向いて。
色々な場所で聞いてみましょう。 


どう聞くとどういう音がするのか?
これを知っていることがとても大事です。

ボーカルに限らず、演奏者によっていい音がする場合は違います。ボーカルの場合は、発声法や姿勢、体格などがかなり影響します。


経験を積めば、どの辺りでどういう音が録れるか経験則で計れるようになります。


この場所がいい音がする!という場所をピンポイントで見つけ、その場所にマイクを持ってきましょう。この方法は、どの楽器の録音でも使えます。


あとはスタンドの位置に注意!


例えば壁に近いと、壁で跳ね返った音がマイクに大きく入るので、本来の音がしなくなります


まずは部屋の中央にスタンドを立ててみて下さい。また、跳ね返った音の話をしたのでわかるかも知れませんが、大きい部屋の方がいいです。
さらに、和室の方がいいです。


何故でしょうか?
日本特有になりますが、畳が良い効果を発揮します。畳はフローリングに比べて音を吸収しますので余計な反射音が減り、音の明瞭度があがります。音を吸収することを吸音といいます

同様に障子やカーテン等も吸音効果があるので有効です。



音響特性を計算した設計の場合はこの限りではありませんが、そんな家はないと思います(笑)。ですので、自宅環境の場合はとにかく吸音するように部屋を仕上げると上手く行きやすいと思います。最近はこんな便利なものもあります。





脱線しましたが、以上を踏まえた上で。


何もわからないとスタート地点すらわからないと思うので、オススメスタート地点のご紹介です。


まずは、ボーカルさんに、歌う姿勢で立ってもらいます。


次に前を向いていることを確認し、マイクを口の前5cmくらいの位置に置きます。この位置は、よくゲンコツ1つ分、などと表現します。


この時の注意点は、マイクのダイアフラムの位置を確認しておくこと。多くのダイナミックマイクは、マイクの長辺に対し直角にダイアフラムがありますから、マイクの設置は地面と水平になります。イメージ的には、ボーカルの口から声が飛ぶラインをイメージし、そのラインにマイクを合わせる感じです。


まずはこの状態で録音し、音の様子を見て下さい。録音は実験とテストの繰り返し。1回でマイキングが決まると思わないで下さい。


録音レベルの調整は別途掲載しますが、まずは録った音に対する対処法です。


低音が弱い、もっとパワー感を強くしたいと感じた場合は、1cm単位を目安にマイクを口に近づけます。これによって、低音成分が多くなります。



この音源に近づくと低音が強くなる現象を近接効果といいます


多くのボーカル用ダイナミックマイクは、この近接効果を踏まえた特性を持っていますから、離れた位置にマイキングすると結構スカスカの音になります。


これはマイクが悪いのではなく、マイキングが悪いのです。

マイキングを調節したらもう一度録音して、音を確認してください。



先ほどの逆で、低音が強すぎる、もっとマイルドにしたい場合は、1cm単位でマイクを離して下さい。


一般的なダイナミックマイクの場合、大抵10cm以内が適正なマイキングと言えるでしょう、もちろん、知り尽くした上でこの特性を逆用するようなマイキングもありますが、かなりの上級編です。


ダイナミックマイクの場合は、大抵この感じでいい距離が決められればマイクのポテンシャルを引き出した音が録れると思います。




マイクの距離以外の要素も。


まずは方向です。
ボーカルの歌い方とマイキングは関連性がありますので、歌っている姿をよく観察しておいて下さい。

姿勢が悪くなっていまうボーカルの場合は、少し上から仰角をつけたマイキングにすると、自然と姿勢が良くなり、いい声が出せるようになります。

先ほどのボーカルの声が飛ぶラインのイメージは重要で、このラインに対し角度をつけたマイキングにすると、ボーカルサウンドのワイルドさ?みたいな部分をコントロールできます。


角度を大きくするとマイルドに、角度をゼロにするとワイルドに、みたいなイメージです。


これはマイクの物理的な構造を利用したもので、単一指向性のマイクの場合は、ダイアフラムと垂直方向が最もクリアに録れます。これを逆用する訳ですね。


まぁまずはこんなところでしょうか。これだけでも結構楽しめると思います(^o^)v


クラウドソーシング「ランサーズ」





最後まで読んでいただけたら是非クリックをお願いします!

とりあえず何かマイクというか録音ネタをそろそろ入れようかと。


まぁまず録音しよう!ということになったら、何か録音する素材が必要です。
一般的な音楽をしていると録音頻度の高いボーカルから入ってみます。



ボーカル、というのは歌ですから、人間の声を録音するわけです。人間の声だけは今のところどう頑張ってもマイクがないと録音できません。ボーカルを録音する必要がある場合は、とにかくマイクを買いましょう

どのマイクがいいかわからない場合は、楽器店さんの店員さんに相談してみてください。
とりあえず、最初はダイナミックマイクというタイプのマイクを買うことをお勧めします。


理由は、まず頑丈。最初は扱いもわからないでしょうから、壊れにくいものを買ったほうがいいです。コンデンサーマイクというタイプのものは、傾向としては繊細、クリアな音が録れますが、その構造上ダイナミックマイクよりは壊れやすいです。また、コンデンサーマイクはその仕組み上、マイクを動かすための電源(ファンタム電源)が必要で、この電源が供給できるかどうかは、接続される機器側に依存します。最初はよくわからない話ですよね?よくわからないと思ったらまずはダイナミックタイプを買っておいてください。

※ダイナミックマイク(Dynamic): ダイナミックマイクは、空気の振動を受けて振動した振動版(ダイヤフラム)が、ダイヤフラムにくっついているコイルを動かし、コイルの周りにある磁石との間で起こる電磁誘導によって発電される電気を音声信号として取り出すタイプのマイクです。簡単に言うと、スピーカーと同じ構造です。スピーカーは逆で、電気の力で振動版を動かしています。ついでに言うと、フレミング右手の法則というものを使っているのがダイナミックマイクです。理科ですね。ちなみに一般的にダイナミックマイクと呼ばれるものは、正確にはダイナミックマイクの中でもムービングコイル型と呼ばれるものです。ダイナミック型にはリボン型と呼ばれるタイプもあります。

※コンデンサーマイク(Condenser):これはもっと仕組みが難しいです。コンデンサーというパーツがありますが、このパーツは電極と電極の間に電気を溜めています。その量を静電容量といいます。静電容量は電極の距離で変化するのですが、電極を振動版にして静電容量を変化させ、その変化を音声信号として取り出しているのがコンデンサーマイクです。取り出すときに直流電圧が必要で、これがファンタム電源です。大雑把にいうとそんな感じです。難しいですね。

※ファンタム電源:幽霊のPhantomと同じ意味で、マイクケーブルの中にこっそりと?電源を流すので見えない=幽霊=ファンタム電源という名前です。ファントム電源と呼ぶ人も多いです。好みです。48Vというように言われていますが、実際48Vも必要なマイクはほとんでありません。


さぁ、ボーカルにマイクを立ててみることにします。 





しかし!





まだマイクが立てられません。





なぜか?




スタンドが無いのです。マイクは自立しませんし、したとしても人間の口の高さには到底届かないでしょうから、マイクスタンドというものを使って高さを調節します。マイクスタンド1本目ということであれば、ブームタイプをお勧めします。首が曲がるようになっているタイプがブームタイプで、首を曲げることで ボーカルからの距離を調節することができ、便利です。首が曲がらないタイプはストレートといいますが、レコーディングではほとんどブームタイプしか使いません。



なぜか?



マイクスタンドが目立ってしまっても問題ないこと、ブームタイプはストレートを兼用できるという理由が挙げられます。PA/SRの場合は、ステージ上でマイクスタンドが目立たない方がいいので、ボーカルにはストレートが使われることが多いです。かのQUEENのフレディ・マーキュリーのようなスタンドもありますが、これはストレートスタンドの下半分をはずせば作ることが出来ます。笑



そうそう、買うときに注意することがあります。



間違えて背の低いブームスタンドを買わないように注意してください。背の低いものはショートブームと呼ばれるタイプで、ドラムを中心に楽器の録音で使われるものです。ボーカルにはちょっと届きません。 



さて、マイクとマイクスタンドがあればとりあえず立てることができますが、もうひとつ必ず必要なものがあります。わかりますか?



そう、ケーブルです。ケーブルがないと接続できないですね。
ケーブルについては、接続する機器側のコネクターを確認してから買うようにしてください。


マイク側はおそらくピンが3本出ているXLRタイプ(キャノンタイプ)のコネクターだと思いますが、機器側はそれぞれ異なります。 XLRだったとしても、マイク側とは異なるコネクターです。XLRタイプのコネクターにはオスとメスがあり、ケーブルも基本的には片側がオス、反対側がメスです。機器側コネクターがXLRだったらXLRオス-XLRメスのケーブルを買ってください。このケーブルは一般的にXLRケーブル、またはキャノンケーブルと呼ばれます


面倒なのは機器側にXLRコネクターがない場合。この場合は変換ケーブルを買う必要があります。XLR以外の可能性は大きく3つあります。

■TRSフォンジャックコネクター
ギターなどに使われるフォンジャックコネクターと外からの見た目は同じですが、中が違います。ギターなどで使われるものは、ケーブルの中の信号線が2本で構成されるのに対し、このTRSタイプのフォンジャックは信号線が 3本で構成されています。このような信号伝送方式を平衡接続(バランス接続)と呼びます。難しい説明は別の機会にしますが、ノイズが少ない(ノイズが増えにくい:ノイズが乗らないといいます)伝送方法であるため、レコーディングやPA/SRなどは基本的にこのバランス接続が好んで使われます。

機器側がTRSフォンジャックの場合は、XLRメス-TRSの変換ケーブルを購入してください。

※TRS:Tip Ring Sleeveの頭文字を取ってTRSです。ジャックの先から線で区切られて3つのエリアに分かれていると思います。先端側からTip, RIng, Sleeveという名前がついています。ちなみに下のTSフォンの場合は、Tip, SleeveしかないのでTSという名前です。

 ■TSフォンジャックコネクター
これは、ギターのケーブルと同じ構造のものです。先ほどのTRSフォンがバランス接続だったのに対し、こちらは不平衡接続(アンバランス接続)と呼ばれます。ご想像の通り、バランス接続よりノイズには弱い構造です。マイクの出力信号は非常にレベルが小さいので基本的にはノイズが乗りにくいバランス接続が適していますが、機器側がアンバランスならしょうがない。

XLRメス-TSフォンの変換ケーブルを用意してください。
尚、このケーブルを使って接続した場合、電気的な構造上バランス接続時より音量が小さくなってしまいます


■RCAピンジャックコネクター
これは民生機でよく使われるコネクターなので、見たことも多いと思います。ビデオデッキ等の接続端子もだいたいこれです。もうビデオデッキなんてないか、、、、ブルーレイレコーダーでも同じです。これも信号線が2本で構成されるアンバランス接続になります。

この場合は、XLRメス-RCAピンの変換ケーブルを用意して下さい。
この変換ケーブルで接続すると、なんだか気分がものすごくさびしくなります。民生機っぽくなるからでしょうかね。筆者はテンションが落ちる接続方法です。苦笑


ということで、ケーブルがそろえば接続可能です。まずは一通りそろったので、次回からは実際にマイクを立ててみることにしましょう。 

参考までに、ギターのケーブルはなぜシールドというのか?正確には、シールドケーブルという名前で、ノイズ用のシールドが施されたケーブルなのでシールドケーブルなのです。とはいうものの、最近ではシールドしてないケーブルなんてほとんど見かけません。ギターケーブルの方がいい名前ですね。苦笑
クラウドソーシング「ランサーズ」

 



最後まで読んでいただけたら是非クリックをお願いします!

今回はスピーカーについて。どのスピーカーがいいという話ではなく、置き方や使い方についてです。



スピーカーが既にある、という方は、今どのような置き方をしているでしょうか?



「え?普通に置いてるけど?」



という場合はこの記事を読むと何か得られるかも。普通にも色々あるのでw




さて、
まずはスピーカーというよりは、ステレオ(Stereo)というものを知らなければいけません。


現在、市場に出回っているほとんどの音源はステレオイメージです。左側のスピーカーと右側のスピーカー、2つのスピーカーで再生可能な音源をステレオと呼びます。1本の場合はモノラル(Monaural)、3本以上(正確には2.1ch以上)の場合はサラウンド(Surround)となります。サラウンドは色々なパターンがありますが、7.1chとか5.1chというあれですね。

※音響工学的にはもう少し難しい定義がありますが、たいていこの解釈で通じます。


一般的な音楽制作の場合、今のところほとんどステレオなので、話をステレオに絞ります。



このステレオイメージ、2本のスピーカーを使い、左右のスピーカーから同じ音を同じ音量で再生するとどのように聞こえるでしょうか?



そう、2つのスピーカーの真ん中、つまり何もない場所から音が聞こえるはずです。



しかし厳密にはこれにはもう少し条件があります。


その条件とは、聞く場所から2つのスピーカーまでの距離が等距離であるという事です。
この距離が崩れると、音の聞こえ方が変わってしまいます。

総合すると、左のスピーカーが近ければ左寄りに、右のスピーカーの音量が大きければ右寄りに、といった具合に、音源が同一でも音の定位が変わってしまうのです。

特にこの距離によって定位が変わってしまう現象を、ハース効果(Haas Effect)といいます。音量が同じでも、早く音が届くほうに音は寄ってしまうのです。

※ハース効果を知っておくと、後々色々役に立ちます。

従って、スピーカーの設置でまず気をつけることは、聞く場所から等距離になるようにセッティングすることです。


ちなみに、この聞く場所をリスニングポイント(Listening Point)といい、理想のリスニングポイントをスイートスポット(Sweet Spot)と呼んだりします。スイートスポットと2つのスピーカーの関係性が正三角形になるように設置し、あとは前後距離を二等辺三角形のイメージで調節すればよいでしょう。好きなCDが気持ちよく聞こえる場所をまずは探してください。

※この世界の用語はたいてい英語ベースですが、アメリカだと違う呼び方だったりします。外人に通じないことが結構あります。
 

次です。



どこに置いていますか?



スピーカーは、振動版と呼ばれるものが振動することで空気を振動させ、音を出しています。電気信号を振動に換える機械ということができます。


つまり、振動するのです。



振動するもの、スピーカーの近くにありませんか??



そう、振動するものが近くにあったり、振動するものの上に設置すると、一緒に振動して音が変わってしまうのです。振動するものはスピーカーだけでよいのです。


典型的なものは、


机の上にスピーカーを置くと、たいてい机が一緒に振動してしまいます。特にプラスチック製のもの、軽い机は要注意です。



モノには振動しやすい周波数があって、ある特定の音だけスピーカーと一緒に振動してしまうことがあります。この現象は「共振する」といって、共振する音の高さを共振周波数と呼んでいます。音を再生すると、この共振集周波数の高さの音だけ大きく聞こえてしまったり、引っ込んで聞こえたりと、色々な問題が起こります

※共振:共鳴とも似たような意味あい。学術的にはもう少し難しい話になりますが、大体こんな感じの解釈で通じます。 物質はどんなものでも固有振動数というのがあって、そこに刺激が与えられると振動が大きくなってしまうのです。音楽だけでなく、遠くの工事現場の低音だけ響いて聞こえる、というような現象もこの現象です。

根本的な解決は難しいのですが、手っ取り早く改善するには、重いものの上に置くことです。机も重い方がいいです。ちゃんと設置しようとする場合は、スピーカースタンドというものを使いますが、ちゃんとしたスピーカースタンドは見た目から想像できないくらい重いものが多いです。軽いスピーカースタンドは怪しいです。笑

軽いのであれば、重いものを間にいれるのも効果があります。レンガとかね。ミュージシャンのプライベートスタジオで昔からよくレンガを見かけるのはこのためです。レンガが便利な理由はもうひとつ、それが次のノウハウです。



最後は、高さ。



左右のスピーカー、高さはどのくらいですか?



大体、机の上に置くと耳より下になる場合が多いです。
が、このスピーカーの高さでも音は結構違って聞こえます



これは音の周波数(高さ)の特性によるものが大きいのですが、単純に説明すると、高い音は方向性が強く、低い音は方向性が弱いです。この方向性のことを指向性といいます。


つまり、耳より下にスピーカーがあると、低域(低い音)は順調に届きますが、高域(高い音)は一部しか届いていない、という事になります。こもって聞こえる訳ですね。


ということで、スピーカーの高さのスタンダードは、耳の高さです。もしくは、向きをいじって耳の方に向くように置きます。ただ、この向きをいじってしっかり置くのは結構難しいので、高さをいじるほうがいいと思います。


で、この高さをいじるときに、レンガが大活躍です。


低かったら、レンガを積めばいいのです。楽でしょ?安いし。
コンクリートブロックという手もあるんですが、表面がザラザラなので平らでないこと、スピーカーに傷がつきやすいこと、何より見た目がお洒落じゃないので筆者はレンガをお勧めします。見た目は音に影響するんです!


お金が余っていたら、是非スピーカースタンドを買ってください。最初からモニタリングに適した高さになっています。



雑誌のスタジオの写真などを見てください。ほとんどの場合、スピーカーはスイートスポットの方向を向いていませんか?ラージもちょっと下向いているはずです。



スピーカーの構造が、2ウェイ以上の場合は、高域用のスピーカー(ツイーター)が耳の高さになるようにします。低域は、どこにあっても、向きが変でも大体届きますので。

あとひとつ、インシュレーターという便利グッズがあります。
これはスピーカーの下に置くことで、スピーカーから設置面へ伝わる振動をコントロールすることで、綺麗な響きが得られるようになるものです。周波数特性も変わってきます。

古来から使われる方法では、5円玉の真ん中にパチンコ玉を入れるという方法があります。これを左右それぞれ3つ、合計6セット作り、スピーカーの下に入れます。これだけでも振動の伝わり方が大きく変わるため、音が変わります。正味100円以下でできますので(笑)是非、試してみてください。

ちなみにインシュレーターは片側に3個使う方法と4個使う方法があります。3個は確実に安定しますので、筆者は3個派です。4個でも安定すれば問題ありませんので、音を聞いて良いと思うほうを選びましょう。

もちろん、ちゃんと作られたインシュレーターはそれ以上の効果があります。(苦笑)


2ウェイ(2-way):スピーカーにおいて、振動する部分(振動板:スピーカーユニットと呼ぶことが多い)が2つあるタイプのスピーカーを2ウェイスピーカーという。3つの場合は3ウェイ。でもひとつの場合はなぜか1ウェイではなくてフルレンジスピーカーという。 



とまぁ、だいぶ長くなってきたのでこの辺にしますが、スピーカーの設置(スピーカーセッティング)は奥が深くて、それだけで1冊本が書けますし、もっと詳しい方もたくさんいらっしゃいます。真面目に突き詰めるとお金もものすごくかかります。向きや高さ、ちょっと変えるだけで結構変わりますので、楽しいと思ったら研究してみてください。気が向いたらまた書きます。 



あ、そうそう、調整をするときに使う音源を決めておくといいです。環境が変わったらその音源を再生してみて、音の違いを把握すればどんな環境でも対応していけます。スピーカーの調整をする場合も、その音源を参考にすればいいです。筆者が使っているのはこんな音源です。基本的に全部音が好きですが、アーティストも好きです。

Phil Collins/ Easy Lover
定番です。特にPA業界では定番。綺麗な音。


Michael Jackson/ 
Unbreakable
とにかく音がいい。コーラスの広がり具合など。位相も良くないとちゃんと再生できない音源。


椎名林檎/ 本能
とにかく音がデカイので、最近っぽい曲をやるときに使う音源。ストリングスとベースがカッコいい。


Dream Theater/ 
New Millennium
とにかくワイドレンジ。スピーカーや環境の能力測定に良い音源。性能が悪いと再生しきれない。


クラウドソーシング「ランサーズ」
 




最後まで読んでいただけたら是非クリックをお願いします!

なぜ録音ノウハウのブログで、最初の記事が録音ではないのか?




答えは簡単です。




音を聞く環境(モニター環境)が整っていないと、どんなにノウハウを尽くして録音やミキシングしたとしても、効果がよくわからないからです。効果がわからないと、楽しくありません



 低域がよく拾えるようなセッティングをしました。



でも、低域がよく聞こえない環境で聞いていたら、どうでしょうか?





いい響きのリバーブをかけました。



リバーブの残響が聞こえない環境で、どのくらいのリバーブにしたら良いかわかるでしょうか?


※リバーブ:音に響き(残響)を後付けするエフェクター。風呂場の響きをつけるような。カラオケなどのエコーとは若干中身が異なる。カラオケのエコーは、リバーブだけでなくディレイという成分も結構含まれている。


そう、モニター環境が良くないと、判断ができないのです。
判断がしっかりと出来ない環境では、第3者が聞いたときに満足のいくような音が作れないばかりか、判断に時間がかかるため作業スピードも遅くなります。

音を聞くことを音楽制作の世界では「モニターする」といいますが、もともと英語で、Monitorとつづります。監視するといった意味を持っていて、文字通り作っている音を監視するのです。



監視カメラが曇っていたら、強盗の犯人は捕まえられませんよね?



ということで、まずは自分のモニター環境を整えることが必要です。



レコーディングスタジオでは、 大音量で微細な音や低域の内容をモニターするためのラージモニタースピーカー(略してラージ、ラージモニター)、制作作業において全般的に使用するメインのスモールモニタースピーカー(略してスモール、スモールモニター)、リスナーと同じような音で聞いて確認するためのラジカセ、ヘッドホンやイヤホンで再生された場合の音を確認するヘッドホン、と少なくとも4種類のモニターを使います。


しかし、日本の住宅事情やお財布事情を考えると、これらをすべて最初から揃えるのは現実的ではないですね。筆者もラージは持っていません。まずは、ヘッドホン。次にスモールモニター。という順で揃えればよいでしょう。ラジカセはなんでも良いので、時間を見つけて探すようにしましょう。それぞれ、個別に紹介していきます。


今回はヘッドホン。


ヘッドホンモニターは昔から使われている手法で、自宅で、深夜作業などを行う場合はこれがメインのモニターになると思います。そういう意味ではヘッドホンにお金をかけるのは間違いではないと思います。使うかどうかもわからないエフェクターに投資するよりよっぽど有益です。また、ヘッドホンモニターはセッティングにノウハウを必要としないため、いいヘッドホンがあれば誰でもどこでも安定した環境を揃えることができます


筆者もスタジオに行くときの荷物が決まっています。与えられた環境を使うのが好きなのであまり荷物はありませんが、ヘッドホンだけは持っていきます。

筆者が使っているのはこれです。


どのスタジオでもほぼ同じ音で「監視」できる道具がヘッドホンなのです。


ヘッドホンのモニターはあまりノウハウを必要としませんが、知っておいたほうが良いことはあるので、それを紹介します。

#1
いつも使うヘッドホン端子を決める


ヘッドホン端子ならどの端子でも同じ音だと思っていませんか?




違うんです。




技術的な裏づけもあり、正確に言うと、録音機やDAWから出力された音が、ヘッドホンに届くまでに通る道の状況が違うので、違う音になります。大雑把に技術的な内容を説明すると、デジタルの場合はデジタル信号をアナログ信号に変換するDAC(Digital to Analog Converter、DAコンバーター)と呼ばれる部分、アナログ化された信号を出力できるように調整するアナログ出力回路、最後にアナログ信号をヘッドホンで充分な音量とするためのヘッドホンアンプ と、大きく3つの回路を通過してヘッドホンに入ってきます。

※DAW: Digital Audio Workstation、ダウなどと読むが正確な読み方は人それぞれ。ディーエーダブリューという人も多い。今日ではパソコンで作曲、録音、ミキシングなどが統合的にできるソフトウェアを指すことが多い。ProTools, SONAR, CUBASEとかいう名前のもの。Mac標準のGarage BandもDAWといえる。



この回路の中身が機材ごとに違いますから、当然音は違う音になります。


アスファルトを通った車と、水溜りのあるダートを通った車、出てきたら汚れ方は違いますよね??


パソコンの裏か横にもヘッドホン端子があると思います。DAWで制作している方でしたらオーディオインターフェースをお使いでしょうから、そこにもヘッドホン端子があると思います。(スタジオ級のものにはないです)
試すことができれば、CDなどでよいので、同じ音源を違うヘッドホン出力で聞いてみてください

※オーディオインターフェース:パソコンの中の音(DAWとか)を外部に出力して聞けるようにする機材。これがないとDAWがあっても音が聞けないし、録音できない。厳密には、ほとんどのパソコンがオーディオインターフェース機能を内蔵しているが、音が悪いので制作ではメインで使われない。最近はAI(Audio Interface)と略されることもある。I/Fという略も結構多い。音楽制作で単にインターフェースといったらたいていはこのオーディオインターフェースを指す。


まずは、このヘッドホン端子の音の違いを把握しておくことが大切です。そして、基本的に使うヘッドホン端子はひとつに絞ってください。これが大事。色々な場所のヘッドホン出力を使ってしまうと、その都度異なる判断になってしまうので、作る音が安定しなくなります。


# 2
ヘッドホンを使うときはスピーカーを鳴らさない



意外と、忘れるんです。
ヘッドホンを使うときに、スピーカーが鳴っていると、聞こえる音が変わってしまいます。特にオープン型のヘッドホンを使っているときは顕著です。

※オープン型:ヘッドホンの種類のひとつ。ヘッドホンの外に音が漏れる、一般リスナーには信じられないようなヘッドホン。制作で使うと耳が疲れないので結構はまる。


理屈は単純で、スピーカーから出た音がヘッドホンに当たりますから、その影響で振動(見えません)となってヘッドホンの中の音にも影響を与えてしまうのです。特に、低域で顕著です。


というわけで、ヘッドホンを使う場合はスピーカー音量を下げるのを忘れないように!
スピーカー音量と、ヘッドホン端子の音量を個別に調整できる機器があると便利です。最近のオーディオインターフェースにはこれがついているものもあります。 


#3
ヘッドホンとスピーカーでは音が違うことを忘れない



これも当たり前ですが、結構忘れます。

特に深夜、ヘッドホンで作業をしているとテンションが上がりがちです。完成すると、その高いテンションのままマスターファイルを作ってしまいたくなりますが、必ずスピーカーで聞いてから完成にしましょう。なので、深夜だったら一日待って、改めて聞いてみることをお勧めします。


夜書いたラブレターはたいてい、後から読むと恥ずかしいものです。



何が違うのでしょうか??



 スピーカーの場合は、たとえば左のスピーカーの音は右の耳にも入ります。



でもヘッドホンだとどうでしょう?



そう、意外といわれないと気がつかないのですが、反対の耳には入らないのです。


これがどう作用するかというと、もともと両方の耳に届いて成立するような音で影響が現れますリバーブなどの空間系エフェクトはいわずもがな。落とし穴は、真ん中(センター)に位置するメインボーカルなども結構影響を受けるという事です。

また、左右の広さも異なりますので、ミキシング時、スピーカーで左一杯の位置に置いた音は、ヘッドホンで聞くとかなり左から聞こえます。それこそ、真横よりも後ろに聞こえることもあります。だいたいイメージよりも外側、真横より後ろ方向に定位します。

※定位:音の場所のこと。左に音があれば「左に定位している」といいます。ステレオだけでなく、前後方向や上下方向にも定位という単語を使います。


逆説的に、ヘッドホンで制作を行うと、スピーカーで聞いたときに、こじんまりとまとまってしまうことが多くあります。

理想は切り替えながら制作することなのですが、難しいようであれば日を改めてチェックすることをお勧めします。スピーカーで鳴らす場合も、音量はいりません。2種類以上の環境で再生することが大事です。



という事で、今回はノウハウというよりは知っておいた方がいい事、という感じでした。
次回はスピーカーの話を書きたいと思います。



クラウドソーシング「ランサーズ」
 



最後まで読んでいただけたら是非クリックをお願いします!

はじめまして、レコーディングエンジニアをしています。

僕は、10年以上にわたってレコーディングを中心に音楽制作の現場に関わってきました。レコーディングにとどまらず、音響関係でやってみたいと思った仕事は色々と経験してきました。

レコーディングエンジニアというものにはいくつかのパターンがあり、最も有名なのは大規模なレコーディングスタジオの所属エンジニアではないでしょうか。MIXER'S LAB音響ハウスなどなど、有名なレコーディングスタジオのエンジニアは、花形と言えるでしょう。

一方で、僕もそうですが、インディーズを中心に小規模スタジオとの業務提携、フリーランスでの制作を中心とした活動をするタイプのエンジニアも今日では多くなっています。

前者と後者では方向性が異なり、前者のタイプのエンジニアは録音を追及する技術系の職人さんといった趣のエンジニアが多いです。超一流のスタジオ設備を縦横無尽に、空き時間はその設備を録音の研究に費やすことができるため、まさに「至高の音」を奏でてくれるのがこのタイプのエンジニアです。

一方後者は色々できることがセールスポイントになるため、録音だけでなく作曲や演出、時にはライブPAまでひとつのアーティストに寄り添った活動をすることが多いです。また、機材は自分で所有しているもの、アーティストが所有している機器の中から音を作らなければなりません。スタジオを借りることができても、レコーディングの度に違うスタジオ、ということもよくあります。従って、与えられた環境の中で最大限のパフォーマンスを発揮することが求められ、結果的にアイディアが詰め込まれた「インパクトのある音」を奏でる人が多いです。

どちらが良いというものではなく、筆者は後者に当たりますが、前者のエンジニアに友人もおり、お互い尊敬し合っている間柄です。


後者に分類される筆者ですが、このような背景から、一般的に録音を楽しまれる方々でも活用することのできるノウハウをたくさん持っていると自負しています。録音専門誌等で語られるノウハウ、たとえば「NEUMANN U87AiとSSLで録音するボーカルサウンド」のようなコンテンツは、一般ユーザーにとって憧れではありますが、実用的かというと、実用的ではありません。普段会社員をして週末に制作を楽しむ人が、87AiとSSLを買えるでしょうか?エンジニアですら個人購入できるかわからないシロモノです。

つまり何がいいたいかというと、一般ユーザーが録音を楽しめるコンテンツが提供できれば、喜んでいただけるのではないかと思っているのです。「SHURE SM58で録音するクリアなサウンド」の方が、録音を趣味で楽しむ人には有益な情報だと思っているのです。

前述の通り与えられた環境をホームタウンとしてきましたので、一流スタジオから見れば信じられないような、郊外の楽器店で普通に購入できるようなふつ~の機材を駆使して録音するのは得意分野なのです。


このノウハウを公開して、録音そのものを楽しんでいただく手助けがしたいというのが、ブログ開設の想いです。




機材の紹介や使い方というのは、様々なメディアで取り上げられ、紹介されています。


機材というのはそのほとんどが時代とともに変わってしまいます。変わらないものは、ビンテージとして重宝されていますね。メディアで活発に取り上げられる機材は、ほとんどが短命です。


録音で求められるのは機材の使い方でしょうか?


もちろんそれもありますが、「自分の求める音が出せるかどうか」がすべてです。機材は自分の求める音が出せるものであればそれで良いのです。つまり録音する人が求めるべきは、機材の使い方ではなく、録音やミキシングの方法論なのです。もちろん、その中に機材の使われ方が含まれることもありますが、一般の方が手に入れられる環境で「その機材じゃないと絶対に出せない音」というのは実用性が低いと思っています。


筆者がこのブログでご提供したいものは、機材の使い方ではなく、アイディアや考え方です。時代が変わっても、10年後も、20年後も活用することが出来る録音のアイディアを紹介したいと思っています。ですので、このブログでは特定の機器の使い方などを紹介するつもりはありません。


また、画像や動画もほとんど使わないと思います。録音だけでなく、音楽制作は想像力です。音楽は、映像と異なり、一瞬を切り取ることが出来ません


一瞬を切り取った音を聞いて、どんな音楽かわかるでしょうか?



わかりません。



音楽は、連続して初めて音楽になります。一瞬を切り取れない以上、その制作には全体像を補完するための想像力や記憶力が重要になります。


録音そのものを楽しんでいただくため、このブログでは文章を中心に公開していくつもりです。


テキストで書かれたノウハウで、どんな音が出るのか。


自分の環境ではどのように適応できるのか。


そんなことも想像しながら、楽しんでいただければうれしい限りです。
レコーディングエンジニアとして、この想像することも音楽制作の楽しみだと思っていますから、その楽しみに共感頂ける方がいらっしゃればと思っています。想像したものに近づけていくこと。それが楽しいと思います。

最後に、本名は色々と面倒なことが多い時代なので、公開しません。
ですから、記事の信憑性は、読者の方に、文章からご判断いただくしかありません。

自由に書ければ、ノウハウとして役に立つものが提供できます。
何かに配慮をすれば、その中立性などが失われ、面白くないものになると思います。
ですから、所在や経歴は明かしません。

また、所属エンジニアはお世辞にも稼ぎがいいとは言えません。これは様々な要因があり、たとえば機材の低価格化によるスタジオの乱立。また他には、日本ではエンジニアに対して有効な権利や地位が確立されていないという現状。このような背景から、様々な職業を兼務するエンジニアが非常に多いこともご理解ください。

筆者も例外ではありません。
当ブログにおいても、以下のように色々と既存商品をご紹介することがあります。当ブログへの応援だと思って、たまに紹介されている製品などを見ていただければ嬉しいです。



このようなブログではありますが、共感頂ける方とともに、楽しんで書いていきたいと思っています。お付き合い頂ければ幸いです。



このページのトップヘ